為替介入

中央銀行等、通貨当局による為替介入は、外国為替相場に影響を与え、通貨を安定させるために効果があるといわれています。

中央銀行による為替介入がどのように行われるのか、その仕組み等を知っておきましょう。

為替介入(外国為替市場介入)とは、外国為替相場に影響を与えるために、中央銀行等が外国為替市場で通貨間売買を行うことをいいます。

「外国為替平衡操作」というのが正式な名称です。

中央銀行に外国為替市場介入について形式上の権限はありますが、実際には財務省が介入支持を出し、中央銀行が介入を実施するという形になります。

中央銀行である日本銀行が、財務大臣の指示を受け、財務大臣の代理人として為替介入を行うということです。

為替介入の方法

急激な円高に対応するためには、円売り外貨買い介入を行い、急激な円安になれば円買い外貨売り介入を行い、相場変動を小さくし通貨安定をはかります。

為替介入を実施する際には、「外国為替資金特別会計」を使います。

円売り介入の場合は、財務省が政府短期証券(通称FB)という国債を発行して円資金を調達し、その資金を売って外貨を購入します。

政府短期証券の発行限度枠は、毎年国会にて決定しますので、限度があるということになりますが、発行限度額以上に為替介入が必要となった場合、補正予算等によって限度枠の増枠が行われますから、事実上、限度枠に上限があるとはいっても為替介入ができなくなるということではありません。

反対に、円買い介入の場合は、保有している外貨を売って円を購入します。

実際にどれだけの介入が行われているかは、財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で公表されています。

為替介入の効果は?

為替相場を動かす、安定させるために最も効果的であり、即効性が高いといわれているのが、為替介入だといわれています。

意図的に為替相場を操作できる為替介入ですが、中央銀行である日本銀行は、2004年4月以降、為替介入を行っていません。

日本銀行は、2003年から2004年の間に、総額で35兆円程度の為替介入、円売り介入を行い、相場が円高から円安へ転じる・・・はずでしたが、さらに円高という結果になりました。

円売りしても円安にならなかった・・・ということです。

その後、為替介入を中断してから、相場が反転、円安へと傾きました。

この結果によって、「為替介入の効果が本当にあるのか?」という疑問が生まれたことも事実ですが、為替介入、中断のポイントをうまく見極めることが重要だということも物語っています。

協調介入

多くの国々の通貨当局(中央銀行)が協調して為替相場に介入し、一定の価格・トレンドへ強引に誘導することを協調介入と呼びます。

誘導すべき為替レートを決め、その目標を達成するように特定の通貨を買い続けたり、逆に売り続けたりするという管理統制を、自由主義経済の西側先進国が行うわけですから、不思議に思うかもしれません。

本来は市場に任せておくべきなのですが、なぜこのようなことをするのでしょうか。

協調介入を行う条件

為替相場は多くの取引主体が参加する「市場」によって動いています。

買いたい人が多ければ値上がりし、売りたい人が多ければ値下がりするという市場原理に基づき、適正な価格が決められているのです。

その規模・取引金額は非常に大きく、個人がちょっと取引した程度では全く影響を与えません。

金融機関などが大きい取引をしたときに、やっと少し目に見える程度で、通常は安定した取引がスムーズに行われています。

時にニュースで「ヘッジファンドが主体となった思惑買いが断続的に入り~」などと聞くように、何かしらの意思によって相場が誘導されたり、不可解な値動きをすることがあるのも事実です。
しかし、あくまでも市場は公正であるという大前提がありますので、各国とも多少のことには目をつぶらざるをえません。

ある国がこれは自国にとって都合が悪いと思っても、そこに単独で介入していけば、それはそれで「何かしらの思惑や意思によって」相場を誘導することになりますので、決して褒められたものではなく、むしろ他国から非難されることなのです。

ところが協調介入は、それを敢えて、しかも何ヶ国もが束になって介入しようというのですから尋常なことではありません。

当然ながら各国が共に容認できない急激な変動や、このままでは大国が破綻して混乱するといった時にならないと行なわれません。

逆に言えば、世界経済が壊れるような深刻な事態が起きる可能性がある、あるいは起きつつあるということを示す、非常に特殊な出来事なのです。

プラザ合意

1980年代前半まで、米国はドル高政策をとっていました。

二桁にもなる高金利でインフレの封じ込めには成功したものの、一方で深刻な貿易赤字と財政赤字(双子の赤字)を生み出しました。

基軸通貨である米ドルの魅力が薄れ、このままでは世界第一の経済大国が破綻するのではないかと世界は恐れたのです。

そこで各国は協調して、ドル安への誘導を図ることにしました。

これが1985年9月22日に結ばれたプラザ合意です。

この合意は米国の貿易赤字を抑制するため、大幅な対米貿易黒字を稼ぎ出していた日本円を実質的なターゲットにしており、それまで1ドル=235円だった為替レートは、プラザ合意が発表された直後の1日で約20円も円高ドル安になりました。

当時の大蔵大臣・竹下登が「ドル円レートは1ドル=190円でもかまわない」と発言するなど、ある程度の誘導目標が決められていたのですが、1年後には更に円高が進んで、1ドル=150円前後での取引となり、ドル円のレートは1.5倍程度になってしまったのです。

このように協調介入の威力は大きいのですが、一度トレンドを変えてしまうと止まらない、ソフトランディングが難しいという面もあります。

また、各国の協調が十分でないと、合意だけしていても効果は減少します。

プラザ合意による行き過ぎた米ドル安・独マルク安を是正しようとした1987年のルーブル合意は、結局トレンドを変えられないまま失敗に終わっています。

各国がともに容認できない急激な変動

2011年3月11日に起きた東日本大震災後に「復興需要のため外貨を円に戻すのではないか」という根拠の不明確な思惑が市場に流れ、17日の東京外国為替市場では一時的に1ドル=76円25銭をつけて史上最高値を更新する事態となりました。

しかし実需の資金移動は確認されず、単なる市場の思惑によって起こった急激な為替変動は容認できないとして、日米欧の通貨当局は協調介入の緊急合意をしました。

東京、欧州、米国市場で断続的に介入が行なわれ、即時に震災発生前の1ドル80円台に値を戻しました。

市場の暴力は容認しないという各国の意志が、実力行使に踏み切らせたのです。

為替介入や協調介入については内容を抑えておくだけで大丈夫です。

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