通貨・為替

金と為替

原油と並んでコモディティの代表格「金」

投資対象でもあります。

金は真の通貨なので金市場は為替市場と深く結びついています。

かつて金は通貨そのものであり、いま現在でも為替相場を見るうえで重要な要素です。

金と米ドルの特別な関係や動きの基本を知り、「金は通貨を映す鏡である」ことを理解すると、大きなトレンドをつかめるようになります。

基軸通貨米ドルとの関係

まずは基軸通貨であり、金の国際取引に使われる米ドルと金の関係を見ておかなければなりません。

「金の価格(米ドル建て)は中長期で上昇傾向にある」というのは客観的事実ですが、歴史的経緯や物価上昇(=ドルの価値低下)で半分くらいは説明できます。

歴史も含めて確認しておきます。

戦後ブレトンウッズ体制のもとでは、米ドルと金は固定相場制になっていました。

金1オンス(約31グラム)=35米ドルで不変であり、35ドルあればいつでも1オンスの金と取り替えることができる兌換紙幣だったのです。

1ドル紙幣1枚は金1グラムにほぼ等しい価値と保証されていたので名実ともに基軸通貨としての資格を持っていました。

この安定体制が崩壊した事件を、当時の合衆国大統領の名前をとってニクソンショックと呼びます。

1971年、米国はドルと金の定率交換を中止すると一方的に宣言。

米ドルは兌換紙幣ではなくなり、金とドルの関係は、その時の経済情勢によって変化する変動相場制になりました。

一口でその時に応じて変動とは言っても、今まで「金と等しい価値」だったものが、「金と等しくないかもしれない紙」になってしまったのですから、米ドルの信用は一瞬で失墜します。

米ドルの価値は下がり、1オンスの金と取り替えるには35ドルより多くの紙幣が必要になります。

これをチャートで見ればドル建ての金価格が上昇しているように見えるわけです。

また、変動相場制になってしまえば、ドルと金の関係は、ドルとモノの関係と同じです。

物価が10%上昇すればリンゴ1コが1ドルから1ドル10セントになるのと同様に、金を買うにも10%多いドルが必要になるのが自然でしょう。

1971年から2010年までの40年間に、米国の消費者物価(CPI)は積算で5.6倍になりましたから、ドル建ての金価格も物価上昇を反映するだけで5.6倍になるはずです。

上記2つの「ドル信用低下」と「物価上昇」を併せれば、ブレトンウッズ体制の金1オンス=35ドルから、1オンス=350~500ドル程度になっても納得できる範囲です。

実際、多少の変動はありつつも、平常時においてはこの範囲に収まっていました。

金と米ドルは逆相関関係が基準

既に、金=米ドルという固定相場ではなくなりましたが、今でも金の国際価格は米ドルが基準となっています。

たとえば「1グラム○○円」で示される円建ての金価格は、米ドル建ての金国際価格をその日のドル円相場で円換算し、1オンス(31.1035)で割ってグラム当たりの価格にしたものに過ぎません。

つまり、金と米ドルの関係だけを考えれば、金の10%値上がりは、米ドルの10%値下がりと表裏一体の関係になっているのです。

チャートにすれば完全なマイナスの相関関係(逆相関)になっていなければなりません。

逆に言えば、金と為替のいずれかに通常と異なる変動があるときは、逆相関から外れた動きをとるということです。

たとえば、ドル円相場は変わらない(為替市場ではドルの価値が変わっていない)のに金の国際価格だけが上昇していれば、金が買われている、もしくはドルに対して日本円が売られているというトレンドが見えますし、金価格上昇と円高が順相関(金国際価格は上がっても円建ての金価格は変わらない状態)になっていれば、金が買われているのではなくドルが売られている可能性があると読み取ることができます。

金は通貨を映す鏡

通貨対通貨だけでは見えてこない為替相場の動きも、あいだに金を挟むことによって、よりくっきりした真実を見いだせます。

原油や穀物などの商品相場も、為替相場に影響を与えるファクターには違いありませんが、実需給で動く面が強く、金のように通貨的な振る舞いをすることはありません(「原油需要が逼迫」とは聞いても、「金の在庫が底を付き」などとは聞かないはずです)。

金はいわば裏の通貨、無国籍の通貨であって、表の通貨を映し出す鏡のようなものなのです。

というより世界共通の通貨が金です。

金が買われるとき

先に見たように、米ドルの信用が失墜しているだけの時も、見掛け上の金国際価格は上昇しますが、こういう場合は日本円など他国の通貨も米ドルに対して値上がりし、円建ての金価格は変わらないといった真実の姿を鏡に映します。

真の通貨である金が本当に買われるのは、表の通貨が軒並み悲観的になっている時です。

中東戦争や世界連鎖金融危機など、国際的にどの国も危ないという危機的状況になると、金は買われ実勢価格は上昇していきます。

有事の金です。

世界が混乱してくると一番安全安心の金が買われるというわけです。

また金は、保有しているだけなら税金などのコストがかからない一方、何を生み出すわけでもありません。

利回りを求める攻めの姿勢ではなく、現状維持を確保する守りの姿勢の象徴です。

ですので金相場が落ち着いているときの方が、世界経済は幸せだと言えるかもしれません。

別の言い方をすれば世界経済が混乱し出すと表の顔である米ドルが安くなり真の力を持つ裏の顔である金が注目され始めるということです。

前途したように金と米ドルは逆相関関係にあります。

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