通貨・為替

物価と為替

為替レートは国と国との経済的な力関係を反映しているので、各国経済の基本的な指標である物価上昇率と密接な関連性を持っています。

短期のトレンドにはなりにくいですが特に中長期的には非常に大きなトレンド要因となる場合がある大事な要素なので、記事にしました。

物価安→通貨高が基本

物価が下がっていくデフレ傾向の国は、次第に通貨高になっていくという考え方が大原則です。

なぜなら、物価(=モノの価値)が下がるというのは、おカネの価値が上がることと表裏一体の関係になっているからです。

たとえば、昨日まで1本120円だったジュースが、1本100円に値下がりしたなら、それだけ現金の購買力が高まっているということ。

600円の現金でジュース5本だったのに、今日は6本も買えるのです。

もしこのトレンドが続き、明日は7本、明後日は8本買えるようになるかもしれないと思えば、「このお金を少しでも早く手に入れたい」とみんな殺到するでしょう。

強い通貨はより高く評価されて当然なのです。

しかし、これは基本原則の話で基本があれば例外もありデフレが通貨安に、インフレが通貨高に傾くこともよくある話です。

物価高なのに通貨高!?

物価安は通貨高につながるのが大原則なものの、全く逆の動きをすることがあるのが、為替の面白さでも怖さでもあります。

これは思惑の売買が発生するのが主な原因です。

一つの例を挙げてみましょう。

物価が上がっているという指標が発表された

→ インフレ傾向である
→ インフレ抑制のために金融引き締め=政策金利を上げる可能性がある
→ 高金利になるならその国の通貨を買って運用しよう
→ 思惑買い発生
→ 通貨高
といったことが起こる場合があるのです。

原理原則から考えればインフレ率の分だけ通貨価値は下がっていくので意味はないのですが、投機筋は短期売買を前提にこういった売買を仕掛けたりしますので注意が必要です。

消費者物価指数(CPI)の発表時などは、市場の動きから目を離さないようにしましょう。

消費者物価指数(CPI)とは

消費者物価指数(CPI)とは、特定の国に限らず、米国やイギリス、日本などで毎月発表される経済指標です。

発表される数字は、前年比や前月比など、過去のある時と比べて、対象となる商品の値段(物価)が何%上げ下げしたかを表したもので、その状況から、インフレ傾向にあるのか、デフレ傾向にあるのかを判断する材料になります。

消費者物価指数(CPI)が、FXに与える影響は以下の通りです。

◎消費者物価指数(CPI)の数字が前回よりも高い場合

⇒ インフレ傾向にある
⇒ 物の価値が上がりはじめ、お金の価値が下がりはじめる
⇒ 物>お金

物価が上がり、インフレ傾向になると、対称的にお金の価値が下がってしまうため、物とお金のバランスをとるために、金利を上げる対策を取ることがあります。

そうすると、高金利になった通貨を買う人が増えるため、結果、通貨の値段が上がるきっかけとなります。

これは先ほどの例外で話したように物価上昇により金利を引きあげると考えられれば思惑で通貨高になります。

購買力平価

購買力平価とはなにか外国の物価を絡めて具体例を見てみましょう。

今リンゴ1コあたりの価格が、米国では1ドル、日本では100円だとします。

リンゴ1コ=1ドル=100円ですので、為替レートも「1ドル=100円」が妥当でしょう。

その後、両国の物価が変わり、インフレ傾向の米国ではリンゴ1コが1ドル03セントと3%の値上がり、デフレ傾向の日本は▼1%値下がりして99円になったとします。

リンゴ1コ=1ドル03セント=99円ですから、為替レートは1ドル03セント=99円、通常のUSD/JPY表記に直すと「1ドル=96円12銭」になるべきです。

デフレだった日本は3円88銭も円高になりました。

このように「リンゴ1コの価値はどの国でも等しくなければならない」という考え方を購買力平価(こうばいりょくへいか)と呼び、物価と為替レートの関係を把握する基本となっています。

<ポイント「中長期的トレンド要因」>

▼1%のデフレ国と3%のインフレ国では年4%も為替レートが変わり、これが当然だとすれば、もし▼1%が10年続く国と3%が10年続く国があったとしたら1ドル120円が1ドル80円になっても不思議ではない、むしろ当たり前だと理解できるでしょう。

それどころか物価上昇率を加味した実質的な購買力で考えれば、1ドル80円の「円安」でとどまっているという見方さえ出来るのです。

このように物価上昇率は中長期の大きなトレンドを形成する要因になります。

ビッグマック指数

ただし、購買力平価の考え方には大きな弱点があります。

それは各国の物価・サービスの値段は、必ずしも一律ではないということです。

特に人件費の割合が大きい部門では、あまり役に立たないとさえ言えます。

たとえば日本で散髪したら1回5千円、タイで散髪したら1回500バーツだったので、散髪1回=5千円=500バーツ、為替レートは1バーツ10円とはなりにくいのです。

「人件費も世界共通で、誰でもどこの国でも1時間働けば小麦100グラム相当と交換」だったら理想なのでしょうが、実際には不均衡があり10分で小麦100グラムを稼げる国も、1日働いて50グラムの国もあります。

これでは「平価」になりません。

それでは世界どこでも均一なモノで比べれば良い、とイギリスの経済専門誌『エコノミスト』によって考案されたのがビッグマック指数です。

世界展開しているハンバーガーチェーン・マクドナルドのビッグマックであれば、品質(本質的なモノの価値)はどこでも等しく、厳密な原価計算(≒その国の総合的経済力)を反映した売価になっているからです。

為替レートの比較に使う場合、実勢価格がビッグマック1コ=米国で4ドル=日本で320円なら、4ドル=320円なので1ドル80円が妥当というように評価します。

また、仮にビッグマック1コ=4ドル=240円だとすれば、ビッグマック指数上は1ドル60円が適正になりますが、これは「日本はビッグマック240円と安すぎるからマクドナルドは値上げするべき」ではなく、「日本円は過小評価されているので、為替レートは1ドル60円が適正水準」と読みます。

ハンバーガー1コの値段を絶対のモノサシに一国の為替評価を論じるのですから冗談のようですが、意外とあたっていると評価は高く、ビッグマック指数は継続してアップデートされています。

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