通貨・為替

トルコの次は南アフリカか

トルコリラは1ドル6リラと、高値の7リラから14%下落して落ち着きを取り戻しつつありますが、世界の投資家らは「第二のトルコ」として南アフリカに注目しています。

そもそもトルコ通貨危機の原因となったのは、米国の利上げに対してトルコ中央銀行が利上げに消極的な姿勢を示していることに加えて、米国との関係が悪化しているためです。

通常、世界の投資マネーは相対的に金利の低い所から高い所へと流れる傾向にあるため、米国が利上げに踏み切るなかで利上げに踏み切らなければドル高自国通貨安を招きます。

しかし、トルコのエルドアン大統領は利上げに批判的であることからトルコの中央銀行は十分な利上げに踏み切れず、結果的にトルコから投資資金が流出してしまう事態に発展しました。

また、16年にトルコのクーデター未遂事件に関与したとして、米国人牧師の身柄を拘束したことで米国との関係が悪化しました。

加えて、米国が対イラン制裁に関連してトルコ国営銀行の元副党首に対して実刑判決を下し、同銀行に対して巨額の制裁金を課すとの観測が高まるなど報復合戦の様相を呈しています。

このように、通貨安は金利要因だけでなく、米国との関係悪化も要因となり得ます。

さて、世界の投資家らが「第二のトルコ」として南アフリカに注目しているのは、金利要因だけでなく、米国との関係も悪化しつつあるためです。

これはトランプ大統領が先週、「南アフリカ政府は白人農家から土地を強奪している」とツイートしたことで表面化しました。

南アフリカはかつてアパルトヘイト(人種隔離政策)に伴い、白人のみが土地を所有していました。

その後94年に同政策が廃止されて以降は、次第に土地の再分配が進められたものの、黒人が所有している割合は全体の約1割に留まるなど、依然として社会の不平等は解消されないままです。

こうした中、今春の政権交代で誕生したラマポーザ大統領が白人の農地を無補償で取り上げるべく憲法改正を行う方針に言及したことで反白人政党から称賛の声が上がった一方、白人系野党らはこれに反発するなど国論を二分する状況に陥っています。

当然、土地の再分配が進まないのであれば、力強い政策の下で再分配を進める必要があります。

しかし、隣国ジンバブエでは2000年代以降、白人から土地を強制的に奪い返したものの、無計画な分配が暴動を招き、土地は荒廃し、経済は破綻しました。

そのため、米国が南アに対して経済制裁を加えることは考えにくいものの、国民の人気取りのための土地収奪は、結果的に南アを混乱に陥らせる要因になりかねず、同国の脆弱な経済基盤を壊すリスクとなりかねません。

●iシェアーズ・南アフリカ株式ETF:EZA

南アフリカ株ETF(EZA)は1月の高値75.40から一時51.45と30%超下落する場面もありましたが、現在は57.17と値を戻しています。

しかし、50日移動平均線を依然として下回っていることに加えて、FRBによる米金利の上昇や地政学的リスクを考えると弱気相場が続く公算が大きいです。

また、南アフリカ株と言えば金鉱株が人気ですが、同ETFには南ア産金最大手のアングロゴールド・アシャンティ(AU)や同業大手のゴールド・フィールズ(GFI)が組み入れられていることから、これらの金鉱株も同様に「売り」優勢が続きます。

南アフリカはフラジャイル・ファイブ(経済基盤に脆弱性の見られるトルコ、インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカの五カ国)の一角で、特に経常赤字と財政赤字という「双子の赤字」を抱え、その解消の目途が立っていない上、外貨準備高も乏しいです。

IMF(国際通貨基金)によるARA(外貨準備高の適正水準)の基準に照らすと、本来100~150%が望ましい所、南アフリカは6月末時点でわずか54%しかありません。

これはトルコの53%(6月末時点)とほとんど変わらない水準です。

●主要新興国のARA

適正水準を下回っているのは、トルコと南アの他に、アルゼンチンやチリ、中国、ハンガリー、マレーシアがあります。

アルゼンチンはすでにペソが暴落し、IMFに救済の要請をする事態に追い込まれました。

また、中国は外貨準備高が3.1兆ドル(約340兆円)と世界最大の外貨準備高を有していますが、金融緩和政策や海外からの資金流入でマネーが膨張していることから、外貨準備高の水準は必ずしも十分とは言えません。

ちなみに、タイバーツの暴落に端を発した97年のアジア通貨危機直前のタイのARAは75%でした。

このように、アルゼンチンペソとトルコリラが暴落するのは必然だったと言えることから、南アの通貨ランドが暴落して経済危機に陥る公算は大きいです。

関連記事

  1. 失業率と為替

  2. 原油と為替

  3. 株価と為替

  4. 為替介入

  5. 物価と為替

  6. 金と為替

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP